第3巻は536ページある文庫本だけど、今日1日で読み切った。未明は布団の中で、朝は書斎で、昼はマクドナルドで、夕方はスタバで、夜は家に戻って書斎でしっかりと読んだ。ドストエフスキーが45歳の時に口述筆記した本作品の主人公、ラスコーリニコフはスタンダールの「赤と黒」のジュリアン・ソレルと並ぶ両横綱なので、その語り口、思想信条はそれなりに面白かった。
筋書きはこうだ。1865年、ロシアのペテルブルグは荒廃しきっていた。貧困が原因で学費を滞納し、大学の法学部を除籍されたラスコーリニコフは23歳。世の中を斜めにしか見ない拗ね者の、しかし長身の美しい青年であった。質草を持って金を無心する度に訪れ、いつも足元を見られ苦々しく思っていた老婆の保有する資金の潤沢さに嫉妬した彼は、ナポレオンに心酔する自身のポリシーを正当化し、富の偏重を是正すべく、老婆を殺害するという自分勝手な小市民的革命を1本の斧で遂行する。その際、当初の予定になかった老婆の妹まで亡き者にしてしまう。この事件以降、彼を取り巻く人々の内面が彼をして高速回転を始める。ありとあらゆるマインドが錯綜し、生まれては消え、消えては生まれていった。結局、彼は知り合いのソーニャという娼婦に自首を勧められ、それに従う。その後、9年の刑をシベリアで償う彼の近くにはソーニャが付き添い、そこにはキリスト教的愛が確実に存在していた。
てな感じだと思うけど、間違ってたらゴメンネ。
で、ラスコーリニコフに言いたいのは 押尾学と同じく、反省力に乏しいことだなぁ。そして、世の中の変革を求めるんであれば、最初からフィジカルで勝てると分っている老婆を狙うより、賄賂まみれになっている政治家に天誅をくらわすとか、地元を牛耳ってるヤクザの親分に挑むとかしないといけなかったんじゃないかって思うよ。婆さんは放っておいてもそのうち死ぬだろうから。
この作品は大学1年生の時に、同じ下宿にいた変態の岡本君に薦められて当初読み始めたんだけど、面白くないので、途中で投げ出した記憶があるよ。しかし、今をときめく東京外大の亀山郁夫学長が訳した光文社古典新訳文庫は、やっぱキレがあるからマッハのスピードで読めるし、何回も読み返してみようって気にもなるもん。1000円のランチを我慢して、「富士そば」で昼を済ませ、その差額で古典を読む。これってカッコイイって思うんだけど?
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