2011年9月9日金曜日

蝿。

雑誌を読んでいた。すると1羽の蝿が見開いたページに止まった。どいてくれないと、次のページに行けない。息を吹きかける。ふぅーっつ! 彼は態勢を屈めてその風圧に耐えた。こちらを見ている。10秒経過。20秒経過…。
彼は私に何かを伝えたいのではないか? そう思ったので話しかけてみた。
「最近、どうよ?」と私。
「変わりばえしないなぁ」と蝿。
「夏は凌ぎやすかったんじゃない?」と私。
「そうかい?」と蝿。
「最近さぁ、新規の見込み客が増えてないんだよ、実は…。やり方変えたほーが、いいのかなぁ?」と私。
彼は頭を挟み込むようにして、4回ほど、せわしなく前足を上下させた。
「工夫とか努力が足りないってことを言いたいわけ?」と私。
そして、彼は電車のパンタグラフのよーに畳んでいた後ろ足をまっすぐにして、2段階で伸び上がった。一回り大きくなった彼は、再度、私を見据えた。10秒経過。目には力があった。
ほどなくして、彼は飛び立って行った。行って行ってしまった。今後、我々が再び出逢うことはないだろう。
一期一会とは、こーゆーことを指す。彼には明るい未来があるのだろうか? 彼の夢は何だろう?
少なくとも、私には自助努力によって明るい未来をプロデュースすることが充分可能である。今、そーゆー環境にいる。
シンプルに考えると、私は既に恵まれている。そのことに感謝をし、日々の善行に繋げていきたいと思っているが、ある意味、蝿と会話してしまう精神状態って、アクチュアリー、決して良くないのかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿