神戸というと、楠木正成公を祀った湊川神社だ。子供の頃、母に連れられてよく行ったが、ひょっとすると40年ぶりぐらいに訪れたことになるのかもしれない。
銀閣寺を造った足利義政が室町幕府の8代目だから、そこから遡ること○○年、初代の足利尊氏に打ち負かされたのが楠木正成というわけだが、実はこの神社を再興したのは明治天皇なんだってねー。やるじゃん。
で、楠木公が後醍醐天皇に肩入れした結果、足利尊氏と対峙した当時の頂上決戦の場がこの神戸・湊川であり、幾多の尊い命が失われた代償と交換に新しい時代の幕が開き、室町幕府による統治がスタートしたわけだ。
この戦、詳細なデータがないので正確さを欠くけど、楠木公にとっては最初から多勢に無勢の負け戦だったようだ。以後、第二次世界大戦中の軍人たちも、言い残して散っていった最後のセリフが、「湊川だ」であるのだが、ことほどさように大義があっても勝算の無かった消化試合に、愚直なまでの忠誠心に立脚し死力を尽くした楠公の男気が、今となっても美談として喝采を浴び続けている。実際、男には、負け戦とわかっていてもやらねばならない争いに身を投じることはあるような気がする。
楠木公は、潔さというか男らしさの点で、歴史的に人気が高い。うちのオフィスに程近い皇居外苑にある、青銅でできた「楠木正成像」も、わが国の銅像部門で常に上位にランクされている。
ところで、子どもの頃、湊川神社の境内で私がした質問に母は答えられなかった。
「楠公さんて、何で偉いん?」と私。
「昔からや」と母。
「何で?」と私。
「うるさいな、この子は。しつこい男は嫌われるで」と母は言ったよーに記憶をしている。
はかなくも懐かしい想い出である。合掌。
0 件のコメント:
コメントを投稿