2010年8月1日日曜日
三次災害。
非常に残念な事故が起こった。三次災害。こーゆー言葉があるのかどーかは判らないけれど、二次災害を起点に発生した事故なので、敢えて三次災害と呼ぶ。
ことの発端は秩父の山中で沢登り中の55歳の女性が遭難、死亡したことから始まる。詳細は不明だが、この遭難者と同じパーティーの同行者が携帯電話で警察もしくは山岳関係者もしくはヘリコプターの会社に救助もしくは捜索を、安直に依頼したことで悲劇が起きた。携帯電話の普及ってゆーより、カバー率を上げるため、ケータイ3社が遮二無二、基地局を増やした結果、尾根ではなく電波の届きにくい谷底においてさえ、会話が繋がってしまう状況をつくってしまった。なので、救助の依頼をキャッチしてしまった当事者は、イッツ・オートマチックに現場に向かわざるを得ない。
まず、現地に飛んだヘリコプターの5人が気圧の変化による墜落で死亡。これが二次災害で、今回は、ヘリ墜落の取材に入った報道関係の記者30歳とカメラマン43歳が水死した。55歳の1人の女性が惹起した若い7人の男性の死亡。全員の方のご冥福はお祈りするが、問題にしたいのは沢登に行った55歳の女性の登山経験または技量である。相当な上級者だったのかもしれないけれど…(この人、まさか独身のオバチャンじゃないよね?)。
ところで、登山は釣りや音楽やセックスや料理と同じで、バリエーションが凄い。年に1回富士山に登る人、日本百名山(因みに私は95座に登っている)を完登したと喜んでいるレベルの人、フリークライミングと称するインドアの人、山スキー専門の人、ハイキングの人、氷壁を登る人、山中をひたすら走っている変な人、凍った滝を登る人、7大陸最高峰に登る人(私の師匠、荒木富美雄さんです)、岩に取り付く人、ペットを連れて散歩する人、沢をヘツる人。
私自身は北海道の日高山脈で第二の師匠の加藤浩二さんに連れられて何回か沢の入門篇をこなした程度なので大きなことは言えないのだが、登山の中で最も危険なジャンルがこの沢登りだとゆー認識を持っている。
刻々と変化する状況に対応できる経験と技量(ロープワークも含めて)。山行を途中で中止できる勇気と判断力。あと、水泳の基礎とフィジカルな強さ、過酷な状況下における強運の有無…。例は、枚挙にいとまがないくらいだ。
ことほどさように、沢登りは登山のエキスパートが最後に辿り着くポジションのよーな気がしてるので、入山者は自己責任の権化でなくてはならない。むやみに助けを求めてはいけないのだ。山での甘えは禁物だ。山の神の逆鱗に触れることになるからだ。
三次災害に遭われた30歳の記者の方に沢の経験はあったのだろうか?同じく43歳のカメラマンの方にも。ヘルメットの着用はしてたのだろうか?小石が1個、頭に当たったらどうなるか知ってるのかなぁ?秩父の山だからナメちゃったのかもしれないけれど、沢は標高500m以下の方が水量が増し、危険が増大する。低山ほど怖いということだ。
夏休みで海や山のレジャーが活況を呈している。特に山にはリタイヤした団塊の世代のレイトビギナーが大量に参入してきていると巷間、伝え聞く。この夏の山岳事故が1件でも少ないことを希望します。
最後に、玄関に飾ってある私の沢靴、ベリーかっこいい。でも、この次に私がこの沢靴に足入れするのは、いつなんでしょうか?
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